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基本方針・全体目標 (木戸陽輝)

サービス種別放課後等デイサービス
年齢・学年12歳
利用者及び家族の意向言葉が出にくい。単語をとらえにくく文章の区切りが曖昧、質問に答えるまで時間がかかる 言葉が見つからず忘れたという。文字を書いていると徐々に変形したり文字の大きさが変わっていく、対人関係は今のところ心配はないが、今後が心配。身体を動かすことが好き。トランプやたくさんのペンでごっこ遊び、書くことも好きで自分で問題を作りいっぱい書く。友達関係は良好。体育館での療育で様々な経験をしていただきます。
漢字を書くのが難しい、斜めが捉えにくい
児童の特徴木戸陽輝さんの記録をもとに、一年間の様子を整理しました。

好きなこと
ボール遊び(キャッチボール、的当て、ボール投げ)
鬼ごっこや逃げる・追いかける遊び
友達と一緒に遊ぶことや集団遊び(UNO、ナンジャモンジャ、風船バレーなど)
新聞紙スケートやサーキットなど、体を動かす遊び
製作活動(わたあめ作りなど)
ごっこ遊びやルールのある遊び
得意なこと
身体を動かすことへの意欲が高い
ボールを繰り返し投げる
全身を使った運動を楽しめる
友達との関わり
友達に誘われると積極的に参加できる
集団遊びを楽しめる
ルール遊びへの参加
UNOやナンジャモンジャなどのゲームを楽しめる
挑戦する力
初めは苦手でも成功体験を積むと何度も挑戦する
達成感を味わいながら活動を続けられる
苦手なこと
初めての活動では慎重になることがある
手先を細かく使う活動(巻く・細かな操作など)は少し難しさがある
距離感や身体のコントロールが必要な活動では経験を積みながら上達している段階
集団の中で役割や状況を理解する力は伸びてきているが、継続した経験が必要
一年を通しての変化・成長
① 運動能力の向上
ボール遊びを繰り返すことで投げる力が向上。
肩甲骨や体幹を使った動きが自然に増え、全身を使って遊べるようになった。
新聞紙スケートでは左右の足を上手に動かし、身体のコントロールが良くなっている。
② 成功体験から自信が育った
初めは消極的だった活動にも、自信がつくと何度も挑戦する姿が増えた。
「できた」という達成感を味わえる場面が多くなっている。
③ 集団活動への参加が増えた
友達との関わりが自然になり、
ナンジャモンジャ
UNO
風船バレー
などルールのある遊びにも積極的に参加している。
④ コミュニケーションの成長
ゲーム中に自分の考えを伝えたり、
楽しい気持ちを言葉で表現したりする姿が増えている。
友達とのやり取りを楽しめるようになっている。
⑤ 手先の操作も少しずつ向上
製作活動では難しい工程にも最後まで取り組み、
あきらめず完成させる経験が増えている。
今後の課題
手先の巧緻性(細かな手の操作)をさらに伸ばすこと
集団の中で役割や周囲を見ながら行動する力を育てること
バランス感覚や身体のコントロールをさらに高めること
新しい活動にも安心して挑戦できる経験を積むこと
自分の気持ちや考えを言葉で表現する機会をさらに増やすこと
総評

木戸陽輝さんは、この一年で**「身体を動かす楽しさ」と「友達と一緒に活動する楽しさ」**が大きく育った一年でした。運動遊びでは成功体験を積み重ねることで自信がつき、初めての活動にも挑戦する姿勢が見られるようになっています。また、集団遊びへの参加や友達とのコミュニケーションも増え、社会性の面でも着実な成長が感じられます。

今後は、細かな手先の操作や集団の中での役割理解、自分の気持ちを言葉で伝える力をさらに伸ばしていくことで、より自信を持って様々な活動に取り組めることが期待されます。

木戸さんは目の動きが課題とのことです。

目の動き(ビジョントレーニングの視点)は、発達支援や運動療育においてとても重要な要素です。

木戸さんの場合、「目の動きが課題」ということから考えられることは次のようなものです。

課題として考えられること
動くものを目だけでスムーズに追い続けること(追従性眼球運動)
左右へ素早く視線を移すこと(跳躍性眼球運動)
黒板やプリントなど、遠くと近くへ視線を切り替えること
ボールとの距離感をつかむこと
文章を読むときに行を飛ばしたり読み飛ばしたりすること
集団活動で周囲を見渡しながら動くこと

これらは学習面だけでなく、運動やコミュニケーションにも影響します。

木戸さんにおすすめの遊び
①風船遊び
風船を目で追う
落ちる前にキャッチする
二人でラリーをする

→ゆっくり動くため、目で追う練習になります。

②シャボン玉
シャボン玉を目だけで追う
指で触る
割れるまで見る

→追従性眼球運動が育ちます。

③ボール転がし

向かい合ってボールを転がすだけでも

目で追う
距離感をつかむ
タイミングを合わせる

力が育ちます。

④レーザーポインターやライト遊び

壁に光を映し

目で追う
タッチする

ゲーム感覚で楽しめます。

⑤新聞紙じゃんけん

新聞紙の上でじゃんけんをしながら折っていく遊びです。

足元と相手を交互に見るため、

視線移動
バランス
姿勢保持

を同時に育てられます。

⑥ナンジャモンジャ・UNO

木戸さんが楽しんでいるゲームは、

カードを見る
相手を見る
自分のカードを見る

という視線移動が自然にたくさん起こるため、目の運動にも役立っています。

発達支援コーチ・原始反射の視点

目の動きには次のような機能も関係します。

前庭覚(頭の動きと目の協調)
固有受容覚(姿勢の安定)
体幹の安定性
左右の協応
視覚と身体の協調(ビジュアルモーター)

また、原始反射の観点では、以下の反射が残存していると眼球運動や視線の安定に影響することがあります。

対称性緊張性頸反射(STNR)
頭の動きに合わせて目や姿勢が不安定になりやすく、読み書きやボール遊びに影響することがあります。
緊張性迷路反射(TLR)
重力に対する姿勢の安定や視線の保持に関係し、目だけで対象を追うことが難しくなる場合があります。
モロー反射
周囲の刺激に注意が向きやすく、視線を一点に保ち続けることが苦手になることがあります。
木戸さんへの支援のポイント

木戸さんは身体を動かすことや友達と遊ぶことが好きという強みがあります。そのため、「目のトレーニング」として取り組むよりも、ボール遊びや風船遊び、カードゲーム、サーキット遊びなど、楽しみながら自然に目を使う活動を取り入れることが効果的です。

運動の中で「見る・追う・狙う・視線を切り替える」経験を積み重ねることで、眼球運動だけでなく、運動能力や学習の土台となる視覚機能の発達も期待できます。なお、目の動きに大きな困難が続く場合や、学習・日常生活への影響が強い場合には、視機能評価ができる専門職(視能訓練士や眼科など)と連携して評価を受けることも有効です。
方針身体の土台である脊柱の柔軟性と呼吸を整え、感情と身体のコントロール力を高めます。本人の『やりたい』という意欲を尊重し、やり切っていく、やりたいことが実現するという成功体験を積み重ねるなかで、本人にと手必要な目の動きや姿勢保持、対人関係の向上を図ります。
長期目標身体の感覚統合を進め、視機能と姿勢を安定を図り、学習や集団活動において自分らしさを発揮し、仲間と協力して活動できる。
短期目標遊びを通して眼球運動と体幹を鍛え、自分の気持ちを伝える経験をしていきます。
提供時間平日放課後(15:00〜17:30)、学校休業日(10:00〜16:00)

支援内容の提案

※各項目の「この案を採用する」をチェックしてから「採用案を保存」または印刷すると、選んだ案だけが印刷されます。

項目: 目の動き(ビジョントレーニング)
案1

目標:
動くものをスムーズに目で追う力を育てる

内容:
風船バレーやシャボン玉を目で追う遊びを通して、追従性眼球運動を育てます。ゆっくり動く対象を最後まで見切ることで、視覚と身体の協調性を高め、学習や運動の土台となる見る力を養います。

領域: 運動・感覚
案2

目標:
視線を素早く切り替える力、追従する力を育てる

内容:
カードゲーム、ボール遊びなどを行い、場に出たカードと手札、相手の表情を交互に見る、ボールや相手を目で追うなど楽しみながら跳躍性眼球運動、追従性眼球運動を促し、周囲の状況を素早く把握する力を育てて視覚と身体の協調性を高めていきます。

領域: 認知・行動
案3

目標:
目と身体の連動性を高める

内容:
キャッチボールや的当て遊びを行い、ボールとの距離感を掴む練習をします。前庭覚と視覚を統合させることで、空間認知能力を高め、運動中の正確なボディイメージの形成を支援します。

領域: 運動・感覚
項目: 姿勢保持と体幹(脊柱の柔軟性)
案1

目標:
脊柱を柔軟にし、姿勢を安定させる

内容:
バランスボールやだるま転がしを行い、脊柱の柔軟性を高めます。背面の緊張を緩め、呼吸を整えることで、椅子に座る際の姿勢保持を楽にし、集中して学習や製作に取り組める身体作りを支援します。

領域: 健康・生活
案2

目標:
足裏からの刺激でバランス能力を向上させる

内容:
裸足での活動を基本とし、新聞紙スケートやスラックラインで足裏のメカノレセプターを刺激します。相同の動きから左右別々の動きへと繋げ、無意識下で身体のバランスを保つ力を養います。

領域: 運動・感覚
案3

目標:
原始反射(STNR)の統合を促す

内容:
四つ這いでのヘディング遊びやトンネルくぐりを行い、頭の動きと手足の連動をスムーズにします。STNRの統合を促すことで、書字の際の猫背や視線移動のしにくさを改善し、安定した姿勢を保ちます。

領域: 運動・感覚
項目: 言語・コミュニケーション(呼吸とリズム)
案1

目標:
呼吸を整え、発声を明瞭にする

内容:
水吹き遊びや吹き戻しを行い、息をしっかりと吐き切る練習をします。口腔機能と呼吸のコントロール力を高めることで、言葉の詰まりを軽減し、自分の思いをスムーズに発声できる土台を作ります。

領域: 言語・コミュニケーション
案2

目標:
動きとリズムを合わせ、語彙の表出を促す

内容:
トランポリンで跳ねながらオノマトペを言ったり、リズムに合わせて言葉を出す遊びを行います。身体のリズムと言語のリズムを一致させることで、単語の想起や文章の組み立てをサポートします。

領域: 言語・コミュニケーション
案3

目標:
やりたいことを伝えやり切る、「吐き切る」深い呼吸を促す

内容:
本人の『やりたい』という意向を尊重し、活動を自分で決めて最後までやり切る経験を積みます。吐ききることと感情の表出はつながっていますのでしっかりと呼吸を促していきます。

領域: 人間関係・社会性
項目: 社会性・対人関係(自己主張と尊重)
案1

目標:
集団の中で自分の役割を理解し行動する

内容:
風船バレーやごっこ遊びの中で、チームの役割を分担して活動します。周りの状況を見ながら動く経験を重ね、仲間と協力して一つの目標を達成する楽しさと、集団の中での自分の立ち位置を学びます。

領域: 人間関係・社会性
案2

目標:
自己主張と相手への配慮のバランスを学ぶ

内容:
ルールのあるゲームで、自分の意見を伝えつつ相手の意見も聞く『Yes, and』の関わりを実践します。勝ち負けにこだわりすぎず、お互いを尊重しながら遊ぶことで、社会的なコミュニケーション力を養います。

領域: 人間関係・社会性
案3

目標:
ボール遊びを通じた対人距離の獲得

内容:
1対1のキャッチボールから始め、相手の受け取りやすい速さや方向を考える遊びを行います。物理的な距離感と心の距離感をリンクさせ、相手の反応を見ながら適切な関わり方を選択する力を育てます。

領域: 人間関係・社会性
項目: 学習・微細運動(斜めの概念と書字)
案1

目標:
斜めの概念を身体で理解する

内容:
全身を使ったクロスクロール(手足を交差させる動き)や、大きな紙に斜めの線を引く遊びを行います。身体の正中線を越える動きを繰り返すことで、漢字の『はらい』などの斜めの認識を改善します。

領域: 認知・行動
案2

目標:
粗大運動から微細運動への発達を促す

内容:
いきなり細かな書字を行うのではなく、ぶら下がりや引っ張り遊びで肩甲骨と肘を安定させます。身体の発達の流れに沿って末端の操作性を高め、文字の形や大きさをコントロールする力を育てます。

領域: 運動・感覚
案3

目標:
視覚支援を用いた順序立ての理解

内容:
自分で問題を作る活動を活かし、手順を視覚化したスケジュール表や図解を用います。イメージと動作を一致させる右脳的なアプローチを取り入れ、出来事を順序立てて整理し、表現する力を支援します。

領域: 認知・行動