| サービス種別 | 放課後等デイサービス |
|---|---|
| 年齢・学年 | 9歳 |
| 利用者及び家族の意向 | 言語能力の向上、コミュニケーション能力の向上、集団活動の理解 |
| 児童の特徴 | ## 田中芳幸くんの1年間のまとめ ### 1.1年間の変化・成長 この1年間を通して、芳幸くんは、**自分の好きな感覚や遊びを十分に楽しみながら、活動の幅を大きく広げています。** 当初から砂遊びや水遊びを好み、砂を握る・落とす・投げる、裸足で歩く、水を口に含む、身体に水を受けるなど、さまざまな感覚を自分から確かめていました。活動の途中で疲れると、毛布に包まれたり、職員に抱かれたりして休み、自分なりに気持ちや身体を整える姿も見られていました。 秋頃からは、トランポリン、滑り台、ハンモック、高所からのジャンプ、毛布そり、くすぐり遊びなど、**前庭覚や固有受容覚を使う全身遊び**を繰り返し楽しむようになりました。職員の手を引く、身体を差し出す、叩いて刺激を求めるなど、自分のしてほしいことを行動で伝える力も育っています。 冬以降は、職員が遊びを中断すると、手を引いて「もう一度」を伝えたり、言葉や表情、笑い声が増えたりするなど、**人とのやり取りや意思表示がより明確になりました。**また、滑り台で順番を待つ、職員の合図に合わせてジャンプする、難しい場面では「助けて」と手を差し出すなど、周囲を意識して活動する姿も増えています。 春から夏にかけては、高い場所への挑戦、岩登り、沢歩き、川遊びなどにも意欲的に参加しています。川の深い場所では、当初は職員にしっかりつかまっていましたが、徐々に深いところに長くいられるようになり、2026年7月の沢遊びでは、流れや足元を確認しながら深い場所にも進めるようになっています。滑りやすい岩場では職員につかまりながら姿勢を立て直し、狭い場所や急流でも手足を使って安定する足場を探す姿が見られ、**身体の使い方、バランス、環境への適応力が伸びています。** --- ### 2.好きなこと 芳幸くんは、特に次のような活動を好んでいます。 * **砂遊び** * サラサラした砂を握る、落とす、集める、投げる * 裸足で砂の感触を味わう * 濡れた砂や泥、石など感触の違いを確かめる * **水遊び・川遊び** * プール、ホース、タライ、ドラム缶風呂 * 水を口に含む、吐き出す * 水圧、冷たさ、流れ、深さを身体で感じる * 川や沢を歩く * **大きく身体を動かす遊び** * トランポリン * 滑り台 * 高い場所からのジャンプ * 岩登り、棚登り * ハンモック、毛布そり * ぐるぐる回る遊び * **身体への強い感覚刺激** * くすぐり * 抱っこやおんぶ * 足裏、背中、胸郭、肩周りへの刺激 * 毛布に包まれること * **繰り返し遊び** * 気に入った遊びを満足するまで何度も行う * 滑り台やジャンプ、砂遊びを同じ流れで繰り返す * **人との関わりを伴う遊び** * 職員と手をつないでジャンプする * 追いかけてもらう * 職員に支えてもらいながら挑戦する * くすぐりや身体遊びを通したやり取り --- ### 3.苦手なこと・不安になりやすいこと 芳幸くんは、次のような場面で不安や負担が表れやすいと考えられます。 * **見通しが持ちにくい活動や初めての環境** * 初めての川や深い場所では、不安から職員につかまる姿が見られます。 * **急な音や苦手な音** * 雷や音楽の音量によって耳をふさぐことがあります。 * **好みではない感触** * 濡れた泥を踏んだ際には、足をすぐに拭こうとする様子がありました。 * 衣服や水着の着用を嫌がることもあります。 * **自分の希望と異なる展開** * 求めている刺激が得られない時に、叩く、引っ張る、強く訴えることがあります。 * **横揺れや回転など一部の動き** * 縦方向のジャンプや高い場所は好む一方で、大きな横揺れや回転は不安定になる場面があります。 * **活動の切り替え** * 好きな遊びを終える際には、まだ遊びたい気持ちを行動で示すことがあります。 ただし、これらは単に「苦手」というより、**安心できる大人の支えや、自分で確かめる時間があることで挑戦できることが増えている段階**と捉えられます。 --- ### 4.現在の課題 #### ① 感覚刺激を適切に調整する力 強い前庭覚、固有受容覚、触覚刺激を好んでいます。刺激を求めること自体は発達の土台になりますが、興奮が高まりすぎたり、疲れに気づきにくくなったりする可能性があります。 今後は、活動と休息を組み合わせ、本人が「もっとしたい」「少し休みたい」「終わりたい」を表現できるようにしていくことが必要です。 #### ② 身体のバランスと姿勢保持 高所やジャンプには積極的ですが、横揺れ、回転、滑りやすい場所では職員の支えを必要とすることがあります。 体幹、左右の連動、足裏で踏ん張る力、状況に合わせて姿勢を調整する力を、遊びの中でさらに育てることが課題です。 #### ③ 意思表示の方法を広げること 手を引く、身体を差し出す、叩く、「助けて」と手を出すなど、行動による意思表示は増えています。 今後は、表情、身振り、指差し、写真や絵カード、短い言葉などを加え、相手に伝わりやすい方法を増やす必要があります。 #### ④ 切り替えと見通し 好きな遊びへの集中力は大きな長所ですが、満足するまで繰り返したい気持ちが強く、切り替えに時間がかかることがあります。 「あと3回」「これが終わったら休憩」など、見通しを分かりやすく示し、納得して次へ移れる経験を積むことが大切です。 #### ⑤ 周囲を見ながら安全に活動する力 行動範囲や挑戦する力が伸びているため、今後は危険を避ける、止まる、待つ、手を借りるなど、安全につながる力を育てる必要があります。 --- ### 5.今後の方向性 #### ① 好きな感覚遊びを発達の入口にする 砂、水、ジャンプ、高い場所、くすぐりなど、芳幸くんが自分から求める遊びを中心に支援します。 好きな遊びの中へ、両手を使う、左右交互に動く、姿勢を保つ、目で追う、順番を待つなどの課題を自然に取り入れていきます。 #### ② 「自分から挑戦する力」を大切にする この1年間で、難しい場所にも自分から進み、必要な時には職員の助けを求められるようになっています。 無理にさせるのではなく、本人がやってみたいと思える環境をつくり、必要な時だけ支えることで、成功体験を積み重ねます。 #### ③ 感覚と身体の統合を進める トランポリン、登る遊び、滑る遊び、揺れる遊び、川歩き、岩場遊びなどを通して、前庭覚・固有受容覚・触覚・視覚を一緒に使う経験を増やします。 特に、足裏で感じる、体幹を保つ、左右の手足を連動させる、動くものを目で追う活動を継続します。 #### ④ 伝える力を育てる 芳幸くんの行動を丁寧に読み取りながら、 * もう一回 * 助けて * おしまい * 休みたい * いや * これがしたい などの意思を、身振り、絵カード、写真、言葉につなげていきます。 #### ⑤ 安心して休める環境を保障する 毛布、抱っこ、センサリールーム、静かな場所など、芳幸くんが落ち着ける方法を大切にします。 「活動すること」だけでなく、「疲れた時に休むこと」も自分で選べるよう支援します。 --- ## 総合的なまとめ 芳幸くんはこの1年間で、好きな砂遊びや水遊びを土台に、ジャンプ、登る、滑る、回る、川を歩くなど、全身を使った活動へ大きく遊びを広げてきました。職員との信頼関係も深まり、してほしいことを行動で伝える、助けを求める、相手とタイミングを合わせるなど、人とのやり取りにも成長が見られます。 今後も、芳幸くんが自分から求める感覚や「やってみたい」という気持ちを大切にしながら、身体の安定、意思表示、切り替え、安全への理解につなげていくことが望まれます。好きな遊びを十分にやりきる経験が、芳幸くんの身体、心、人との関係をさらに育てていくと考えます。 |
| 方針 | 本人の「やりたい」という意欲を最優先に尊重し、大好きな砂遊びや水遊び、全身運動を「やり切る」ことで発達の土台を固めます。脊柱の柔軟性や呼吸へのアプローチを通じて身体のコントロール力を高め、情緒の安定と言語・コミュニケーション能力の向上を総合的に支援します。 |
| 長期目標 | 身体の土台(脊柱・呼吸・感覚統合)を整えることで、自分の感情や意図を多様な方法で表現し、周囲と安心して関わることができる。 |
| 短期目標 | 相同の動き(両足ジャンプ等)で身体の正中線を意識し、リズム遊びやオノマトペを通じて「もう一回」「助けて」などの意思表示を確実に行う。 |
| 提供時間 | 平日放課後:2時間、学校休業日:4時間 |
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